突発性虚血心不全とは。 突発性虚血心不全(急性心臓死)とは

『吐血性心不全』は『虚血性心不全』の間違い?

突発性虚血心不全とは

狭心症などの虚血性心不全を治す薬で身体を悪くした。 そんな場合もあるのをご存知でしょうか? 薬は症状を抑えるのに効果的ですが、副作用のない薬はありません。 中でも、心臓に使う薬の多くは腎機能の低下を招きます。 こちらでは心臓と腎臓の関係と、両方が悪化するメカニズムについて書いています。 心臓と腎臓の関係 心臓と腎臓はお互いに影響しあっています。 心不全が起これば腎不全が起こりやすく、腎不全が起こるなら心不全も起こります。 さらに、糖尿病や血管炎、敗血症など全身に影響する病気にかかると、心臓と腎臓の機能が同時に低下することもあります。 血管炎は血管壁が白血球などで攻撃される疾患で、腸内で産生されたエンドトキシンなどの毒性物質が血管に入っても起こります。 そして、血管で起こった炎症は血流不足を起こし、身体のさまざまな臓器の異常も引き起こします。 心臓の働きが弱まり身体への血液の供給が不十分になると、腎機能の低下も併せて起こり生命の危機に瀕します。 そのため、心不全の症状のある患者には腎臓の機能も検査します。 実際に、急性心不全で入院された患者さんの2~3割が急性腎障害を起こしているそうです。 特に糖尿病を患っている人は心臓と腎臓の両方が悪くなっている事が多いそうです。 心臓の機能が低下した時の腎臓 そもそも心臓の機能が低下すると、• 神経やホルモンの乱れ• 腎血流量の低下• 腎静脈圧の上昇 などが起こります。 心臓は他の臓器よりもしっかりと自律神経とホルモンによって守られています。 これは心臓に不具合が生じた時に、すぐに対処するためです。 心臓が病気になっても自律神経とホルモンにより、• 血圧維持• 心臓の収縮力を高める• 心拍数を増やす などをすることで生命を維持しています。 しかし、これらの対処は本来なら一時的なものなので、慢性的に起こっていると逆に心臓の負担が増え、腎臓などの血流が低下し心臓と腎臓の両方に問題が起きてしまうのです。 薬による心臓や腎臓への影響 利尿薬の投与は血管内の血液量を減少させるので、心拍出量が減少する場合があります。 すると、腎臓の血流量も減るので腎機能の低下を招く恐れがあります。 ですが、利尿薬によって体液量を減らすことで腎静脈圧が下がれば腎機能が改善することもあるので、利尿薬が悪いとも限らないのです。 血圧を下げてくれるACE阻害薬は心不全の患者さんには極めて重要な薬剤の一つです。 ですが、ACE阻害薬はクレアチニン値を上昇させるので、腎機能を低下させている可能性があるのです。 血管拡張薬の使用も腎障害を起こす頻度が高かったことが報告されています。 そのため、狭心症などの虚血性心不全は食事や体操で解消するのが理想なのです。 生活習慣 心臓と腎臓の負担を避けるには、食べ過ぎず肥満に注意することが基本です。 心 臓も腎臓も年齢と共に弱ってくる臓器なので、運動不足の身体で食べ過ぎれば身体が弱るのを加速させます。 そして薄味を心がけ、塩分の取り過ぎに気をつけることも大切です。 心臓も腎臓も血流が良い方が負担が少ないので、血流を悪化させる過剰な栄養は禁物です。 また、軽い運動が狭心症や心筋梗塞の予防となります。 毎日、運動している人は交感神経系ホルモンのカテコールアミンの分泌が少なくなり心臓への負担が軽くなるからです。 とは言っても、運動していない人が急に動くと酸素を取り込む効率が悪く心臓の負担が大きいので、初めは軽めのウォーキングなどを30分くらいから始めるのがおすすめです。 筋トレなどは、急激に血圧を上げるので気をつけましょう。 心臓と腎臓は別々に考えない! 心臓と腎臓は関係が無いように見えて、最も関係が深い内臓です。 心臓に良かれと思って飲んでいる薬で、腎臓の機能低下を招くこともあるので注意しましょう。 また、心不全の原因が腎機能の低下から来る場合もあるので、腎臓も気にして生活するのが大切です。

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虚血性心疾患(循環器科)

突発性虚血心不全とは

虚血性心疾患(循環器科)• 狭心症 冠動脈に有意狭窄が存在し、坂道歩行、階段昇降などの労作によって前胸部圧迫感などの狭心症症状が出現する労作性狭心症と、とくに安静時(早朝、夜間など)に冠動脈攣縮によって心筋虚血が生じ狭心症症状が出現する冠攣縮性狭心症に分けられる。 労作性狭心症 労作により狭心症症状が出現する狭心症、安静時には症状が出現しない。 1)典型的な狭心症症状の訴え方 胸が重苦しい、圧迫される、押さえつけられる、締め付けられる 2)非典型的な狭心症症状の訴え方 顎が痛い、じんじんする/肩や腕が重だるくなる/背中が痛い 狭心症症状が出ているとき、心筋に虚血がある限り、基本的には心電図でのST変化を伴うが、回旋枝、後側壁領域では心電図変化に乏しいことがあるので注意を要する。 安静時で症状が出ていないときは、通常心電図は正常である。 診断は? 運動負荷試験によるが、本当に虚血がありそうなときは、ダブルマスターより心電図をモニターしつつ運動負荷をかけるトレッドミルや心筋シンチのほうが安全である。 安定狭心症 狭心症症状が出現する労作閾値が安定している労作性狭心症。 頻度、症状はいつも同じ程度である。 診断造影の後、インターベンションを要することもある。 不安定狭心症 狭心症症状が出現する労作閾値の低下(安静時でも症状が出現するようになったり)、頻度の増加、症状の程度の増強を示す狭心症。 安静狭心症、新規発症の労作性狭心症も含まれる。 急性心筋梗塞の前兆であることも多いので、基本的にこの段階での運動負荷は禁忌と考えてよい。 循環器専門医への連絡を要する。 治療:準緊急的にインターベンションを要することが多い 冠攣縮性狭心症 冠動脈攣縮が生じている間、心筋血流の低下が生じ、狭心症症状を呈する。 よって安静時に狭心症症状が出現することが多いが、労作誘発性の冠動脈攣縮もまれに存在する。 誘因として精神的ストレス、寒冷刺激、喫煙、心身の疲労、過換気などがある。 治療:Ca拮抗薬、亜硝酸製剤、Nicorandilなど 心筋梗塞 * 冠動脈の高度狭窄あるいは完全閉塞により、支配灌流域の心筋が壊死に陥る状態。 * 心室細動、房室ブロックといった不整脈、急性心不全、心原性ショックなど致命的な急性期合併症が多く、放置すれば死亡率が高い。 また、心室リモデリング進行による慢性心不全、心室瘤、心原性の血栓塞栓症といった慢性期合併症を予防することも重要。 * 急性期(発症より24時間以内)で症状があれば可及的早期再灌流療法(t-PA、PTCA、CABG)が必要である。 急性心筋梗塞 どうやって診断するか? * 教科書的な診断基準を満たすまで待っていたら早期再灌流は果たせないことが多い。 * トロポニン、CK、CKMBといった心筋逸脱酵素の上昇を、急性期に認めない例が非常に多いことを認識する必要がある。 * いかなる状況においても基本的には胸痛、胸部圧迫感といった胸部症状の訴え+心電図上どこかの誘導でST変化が認められたら採血の結果を待つことなく、至急、循環器専門医へ連絡することが重要である。 (当院では24時間対応可能である!) 急性心筋梗塞を疑ったらまず何をするか?(当院到着後)• 酸素投与(胸痛患者にはほぼ全員が基本)• アスピリンをかみ砕いて内服してもらう、ニトロ舌下。 末梢よりヘパリン3000単位静注。 * 当院では発症時間、年齢に応じてインターベンション前にt-PA半量静注の先行投与も行っている。 * 当院ではこの後、心臓カテーテル検査室へ行き、冠動脈造影、必要に応じてインターベンションを行っている。 再灌流後の治療は? * 心臓リハビリテーションを行い、食事療法、運動療法(1回30分の散歩を週3回以上)の重要性を指導し、高血圧、糖尿病、高脂血症のコントロール、禁煙など冠動脈リスクファクターの管理の重要性も指導している。 * ただし無症候性心筋虚血だけは症状がないので注意を要する。 心電図の違い * 一般的に狭心症ではST低下、心筋梗塞ではST上昇を認める。 例外もあるが、基本的にST上昇を認めたら、採血の結果を待つことなく、至急、循環器専門医への連絡を要する。 * ただし冠動脈攣縮性狭心症でST上昇するタイプの異型狭心症も存在するので、ニトロ舌下は試みても良い。

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虚血性心疾患による心不全はどのようにして起こるか?|Web医事新報

突発性虚血心不全とは

はじめに 高血圧、糖尿病で薬を服用しているAさん(70歳、男性)は、ある夕方、食事中に突然、持っていた箸を落としてしまい、右手に力が入らないことに気づきました。 あわてて立ち上がろうとすると右足にも力が入らず、うまく立ち上がれませんでした。 不安になり、どうなるのかと座って様子をみているうちに10分ほどで右の手足は元通りに動くようになりました。 症状が一時的ですぐにおさまったので安心し、そのまま風呂に入り、就寝しました。 Aさんのこの行動は正しかったのでしょうか。 あなたならどうしますか? 一過性脳虚血発作(TIA)とは Aさんの身に起こった一時的な右手足の脱力発作は「一過性脳虚血発作」の可能性があります。 一過性脳虚血発作は「TIA」(transient[一過性の]ischemic[血流が乏しくなる]attack[発作]の英語の略称)とも呼ばれています。 この発作は、脳の一部の血液の流れが一時的に悪くなることで、半身の運動まひなどの症状が現れ、24時間以内(多くは数分から数十分)に完全に消えてしまいます。 脳細胞に栄養を与えている脳の動脈が血栓(血の塊)で詰まり、症状が現れますが、脳細胞が死んでしまう前に血液の流れが再びよくなるため、脳細胞が元の機能を回復し、症状も消失します。 一方、脳の血液の流れが悪い状態が続くと脳細胞は死んでしまい、運動まひなどの症状も残ってしまいます。 この状態が「脳梗塞」です。 脳梗塞は最近よく知られるようになってきましたが、一過性脳虚血発作はあまり聞きなれない言葉かもしれません。 2011年にわれわれが全国の20~70代の一般男女10,000人に行ったアンケート調査(厚生労働科学研究費による)でも、「脳梗塞」がどういうものか説明できる人は、全体の約7割であったのに対し、「一過性脳虚血発作」を知っていた人はわずか2 割弱でした〈図1〉。 また、このアンケートでは冒頭のAさんのような一過性の症状を経験した際に「どのように行動しますか?」という質問もしましたが、「すぐに病院を受診する」と回答した人は全体の約5 割でした。 症状が続いた場合は「すぐに病院を受診する」と回答した人が9 割近い結果であったことからも、一過性脳虚血発作は知られていないだけでなく、一時的な症状自体が軽視されていることがわかりました。 この発作は軽視してよいか? 症状が短時間で消えてしまう一過性脳虚血発作は、すぐに病院へ行かなくてもよい病気なのでしょうか。 以前は一般の方々だけでなく、医師の間でも一過性脳虚血発作は緊急を要する病気であるとは認識されていませんでした。 しかし、一過性脳虚血発作を治療しないで放っておくと、3か月以内に15~20%の方が脳梗塞を発症し、そのうち半数は一過性脳虚血発作を起こしてから数日以内(特に48時間以内が危ない)に脳梗塞になることがわかりました。 さらに、一過性脳虚血発作後、速やかに病院を受診し、検査・治療を始めれば、その後の脳梗塞発症の危険を減らせることも、いろいろな研究からわかってきました。 これらの事実から 脳卒中を専門とする医師の間では、一過性脳虚血発作は脳梗塞の重要な「前触れ発作」「警告発作」であり、早期受診、早期治療が必要な緊急疾患であるという認識に現在では変わってきています。 しかし、アンケート結果からおわかりのように、一般の方には一過性脳虚血発作の重要性、緊急性がまだ広く認識されていないのが現状です。 またこの知識は脳卒中を専門にしていない医師(開業医を含む)にもまだまだ普及していません。 今後この発作の重要性、緊急性をさらに広く知ってもらう必要があります。 脳梗塞になる患者さんのすべてが、一過性脳虚血発作を経験してから脳梗塞になるわけではありません。 残念ながらいきなり重症の脳梗塞になってしまう方もおられます。 そういう意味では、一過性脳虚血発作という軽い一時的な症状で始まる方は、運が良いのかもしれません。 脳梗塞にならないように対処できる絶好の機会だからです。 「気のせい」などとは思わずに、ためらわずにすぐ脳卒中の専門病院(神経内科、脳神経外科、脳卒中科などのある病院)に受診することが必要です。 ただ、一過性脳虚血発作を疑う症状を経験した時に、とっさにどこの病院を受診すればよいかわからない場合が多いと思います。 脳卒中の専門医がいない病院もたくさんあります。 そのためにも日ごろからご家族とともに、もしもの時にどこの病院を受診したらよいかを調べておくことも重要です。 かかりつけ医がいる場合には、脳卒中の専門病院を紹介してもらうとよいでしょう。 一過性脳虚血発作が疑われる症状は? この発作の症状は、脳の動脈が詰まる場所によってさまざまです。 典型的な場合、片側の手足や顔のまひなどの運動障害、片側の手足や顔のしびれや感じ方が鈍くなるなどの感覚障害(脳血管の異常による運動障害や感覚障害は、ほとんどが片側に起こるのがポイント)、ろれつが回らなかったり、言葉が出なかったりする言語障害、片方の目が見えにくくなる視力障害(一過性黒内障)、片側にあるものが見えなくなる視野障害(同名半盲)などが主な症状です〈図2〉。 こうした症状は、一過性脳虚血発作以外の緊急性がない原因で起こることもありますが、心配な場合はご自身で判断しないで、まず医療機関への受診をお勧めします。 一過性脳虚血発作の症状は、多くの場合、病院を受診した時点では消えていますので、医師はその症状を実際には診察で確認することができません。 医師が一過性脳虚血発作かどうかを判断する一つの重要な材料は、一過性の症状についての本人、もしくは周りにいた人からの問診です。 例えば運動まひであれば「どこの部位に生じたのか」「まひがどの程度であったのか」「症状が何分くらい続いたのか」などをできるだけ正確に伝えることができるようにしておきましょう。 特に危ないのは? ABCD 2 スコアとは? 一過性脳虚血発作後に脳梗塞を起こす危険度は、患者さんそれぞれによって異なります。 ABCD 2 スコアは、一過性脳虚血発作後に脳梗塞を早期に起こす危険性を予測する指標として開発されました〈表1〉。 各項目の点数を合計したスコア(0~7点)が高いほど、一過性脳虚血発作後、早期に脳梗塞を起こす危険性が高いとされています。 このスコアを指標に受診するかどうかを決める必要はありませんが、特にスコア3~4点以上は要注意ですので、知っておくとよいでしょう。 専門病院受診後はどうなるか 問診や診察などで一過性脳虚血発作が疑われる場合は、直ちに検査を行い、治療を始めます。 発作が起こってから早く来院された場合(特に発作後48時間以内)は、その後の脳梗塞発症の危険度が高いため、原則として入院となります。 ABCD 2 スコアやMRIの結果なども入院の判断の参考となります。 基本となる点を説明しましたので、続いてこの発作の原因、検査、治療についてもう少し詳しく説明します。 原因は主に二つ 一過性脳虚血発作は、大きく分けて二つの原因から起こります。 動脈硬化と心臓の病気です。 ・動脈硬化が原因の場合 この発作の多くは動脈硬化が原因で起こります。 比較的太い動脈(特に頸部の頸動脈)に動脈硬化が起こると、その表面に血栓が付着します。 この血栓がはがれ、血流にのって、より先の動脈に引っかかるとまひなどの症状が出現します〈図3〉。 血栓が小さい場合は、すぐに溶けて流れ去ってしまうため、血流が回復して症状も消えてしまいます。 また、もう一つの起こり方として、動脈硬化によって非常に狭くなった脳の動脈がある場合は、急に血圧が下がるなど脳の血流がさらに悪くなったときに症状が出現します〈図4〉。 頭を低くして休むなどして、再び脳の血流が回復すると症状は改善します。 ・心臓が原因の場合 心臓で作られた血栓が脳の動脈に流れていき、動脈が詰まると症状が出てきます。 心臓に血栓ができやすくなる心臓の病気としては、心房細動という不整脈が圧倒的に多く、心筋梗塞、人工弁なども原因となります。 ただ心臓にできる血栓は大きいため、一過性脳虚血発作よりは大きな脳梗塞(心原性脳塞栓症)として起こってくることが多いようです。 検査 この発作の原因となりうる、動脈や心臓の病気を調べるために、次の ような検査をします。 頭部MRI検査(CT検査) MRIでは、脳梗塞やそれ以外の一過性脳虚血発作の原因となりうる病変を調べることができます。 MRIの撮影法はいろいろありますが、その中で拡散強調画像と呼ばれる方法は、新しい脳梗塞部分をはっきりとらえることができます。 〈図5 のA〉。 一過性脳虚血発作は、基本的には脳に傷跡(脳梗塞)が残らないのですが、拡散強調画像を撮影すると、新しい脳梗塞が見つかるケースが増えています。 こうした検査結果は、一過性の症状が脳の虚血発作であったという強固な証拠となりますし、一過性脳虚血発作後に脳梗塞を起こしやすいという危険信号といえます。 またMRAという検査では、脳の動脈の状態を検査することができます〈図5 のB〉。 これによって一過性脳虚血発作の原因となる太い動脈の動脈硬化の程度、具体的には高度の狭窄や閉塞がないかをチェックできます。 一方、CT検査は、大まかな脳の状態を把握することはできますが、小さな脳梗塞や血管の状態まではみることはできません(ただし造影剤を使用すれば可能)。 そのため最近では一過性脳虚血発作の診療に、拡散強調画像やMRAを含むMRI検査が必須となっています。 頸部血管超音波検査 首に超音波を発する探触子(プローブ)をあてて行う検査です。 先にお話ししたように頸動脈の動脈硬化は、一過性脳虚血発作の重要な原因の一つです。 この検査では、頸動脈の動脈硬化の程度、狭窄の有無などを容易に調べることができます〈図6〉。 心電図 心臓に血栓を作る主な原因となる心房細動(不整脈)がないかをチェックします。 心房細動は一過性のことがあり、通常の心電図で心房細動を確認できない場合は、携帯型の心電図を1日中つけて、心房細動がないかを検査します。 経胸壁心臓超音波検査と経食道心臓超音波検査 経胸壁心臓超音波検査は、胸の表面から超音波をあてて、心臓の壁や弁の動き、心臓内の血栓の有無などを調べ、一過性脳虚血発作を引き起こす心臓の病気を検査します。 さらに詳しく調べたいときには、経食道心臓超音波検査を行います。 これは胃カメラのように、超音波の探触子(プローブ)のついた管を飲み込み、食道側から心臓を調べる検査です。 経胸壁心臓超音波検査より苦痛を伴う検査ですが、心臓内(血栓のできやすい左心房内)の血栓をより鋭敏に見つけることができ、また一過性脳虚血発作の原因となる心臓の穴(卵円孔)や大動脈の動脈硬化も調べることができる有用な検査です。 治療 早期の治療で一過性脳虚血発作後の脳梗塞発症を減らせることは前に触れました。 頭部MRI、頸動脈超音波検査、心電図などの検査結果から一過性脳虚血発作の原因を推定し、治療を選択します。 治療は、大きくは内科的治療と外科的治療に分けられます。 内科的治療 この発作に対して、短期的もしくは長期的に脳梗塞発症を予防するための内科的治療(薬物治療)は、抗血栓薬による治療(血液をサラサラにして血栓ができるのを予防する治療)と、高血圧、糖尿病、脂質異常症など動脈硬化の原因となる生活習慣病の治療が中心となります。 抗血栓薬は「抗血小板薬」と「抗凝固薬」に分けられ、一過性脳虚血発作の原因によって使い分けられます。 頸動脈や頭の中の動脈の動脈硬化が原因となる一過性脳虚血発作では、抗血小板薬としてアスピリン(バイアスピリン*)、クロピドグレル(プラビックス*)、シロスタゾール(プレタール*)などを、病状に合わせて、使い分けたり併用したりします。 一方、心房細動など心臓に由来している場合は、抗凝固薬を使用します。 抗凝固薬によって心臓の中に血栓ができるのを防ぎ、脳梗塞を予防します。 以前はワルファリン(ワーファリン*)という薬しかありませんでした。 ワルファリンは予防効果の高い薬ですが、食事(納豆、青汁など)や他の薬剤の影響を受けやすく、血液検査で内服量を常に調節しなければならない煩わしい面もありました。 最近では、これらの短所を改善したダビガトラン(プラザキサ*)やリバーロキサバン(イグザレルト*)という新しい薬が発売され、抗凝固薬の選択肢が増えました。 生活習慣病の治療については、後で説明します。 (*印は商品名) 外科的治療 一過性脳虚血発作の原因が、動脈硬化で、狭くなった頸部の頸動脈である場合は、脳梗塞の発症予防を目的に外科的治療をすることがあります。 それには、「頸動脈内膜剥離り術」と「頸動脈ステント留置術」という二つの手術法があります。 頸動脈内膜剥離術は、全身麻酔によって頚動脈の流れを一時的に遮断して切開し、狭窄の原因となっている動脈硬化の塊(粥腫-じゅくしゅ)を除去するものです。 一方、頸動脈ステント留置術は、カテーテル(細い管)を使って行う治療で、局所麻酔をして、足の付け根の血管からカテーテルを通し、頚動脈の狭窄部分に「ステント」と呼ばれる金属性の網状の筒を留置して、血管を正常の太さまで広げる手術です。 ステント治療の方が患者さんにとって負担が少ないように思えますが、内膜剥離術にも治療として優れた点があり、どちらの治療を行うかは、患者さん本人の希望だけでなく、専門医の意見も参考にする必要があります。 その他の外科的治療としては、太い動脈が完全に閉塞し、脳の血流が悪くなっていることが一過性脳虚血発作の原因になっている場合は、頭皮などの血管を脳内の血管につないで血流を良くする「バイパス手術」を行うこともあります。 一過性脳虚血発作、脳梗塞を起こさないために 一過性脳虚血発作や脳梗塞の主な要因は、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙を4 大要因とする動脈硬化と、心房細動(不整脈)です。 一過性脳虚血発作や脳梗塞を予防するには、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病をしっかり治療すること、禁煙すること、そして心房細動に対して早いうちに対処することが鍵となります。 高血圧:高血圧は脳卒中の最大の危険因子です。 そのため血圧のコントロールは重要で、上の血圧(収縮期血圧)140mmHg未満、下の血圧(拡張期血圧)90mmHg未満を目標に治療します。 健診時や診察時の血圧は、いろいろな条件が影響し、あてにならないこともあります。 高血圧が疑われる方、また高血圧で内服治療中の方は、自宅での毎日の血圧測定が重要です。 起床して1時間以内、就寝前の計2回、1~2分間安静にした状態で座って測り、記録して診察時に医師にみてもらいましょう。 脂質異常症:以前は高脂血症と呼ばれていましたが、現在は脂質異常症と呼ばれています。 健診で指摘された場合には、まず食事療法、運動療法が基本となりますが、それでも改善しない場合、特にLDLコレステロールが高い場合には、「スタチン」という薬を使用します。 「スタチン」はコレステロールを下げる以外の作用もあり、脳卒中の再発予防の効果があるとされています。 糖尿病:動脈硬化の原因となるだけでなく、網膜や腎臓に糖尿病による合併症を引き起こし、失明や腎不全の原因となりますので、糖尿病を放置しておくのは危険です。 糖尿病の診断は血糖値の検査に基づき行います〈表2〉。 一度糖尿病と診断されたら、速やかに治療を始め、定期的に検査を受けて血糖のコントロールができているかを確かめることが大切です。 糖尿病は長く付き合っていかなければならない病気ですが、血糖をしっかりコントロールしていると脳卒中など循環器病の発症を抑えることができます。 また健診などで糖尿病の疑いとされた方も、その後検査しないでいると、知らないうちに糖尿病になっていることもあるので、注意が必要です。 糖尿病の治療は、食事・運動療法が基本ですが、薬物治療としては血糖を下げる血糖降下薬という飲み薬と、インスリンがほとんど分泌されない人や不足している人のためのインスリン注射があります。 喫煙:禁煙の継続で脳卒中の危険性は、確実に低下します。 長年喫煙している場合も、今からでも遅くないので、ぜひ禁煙をお勧めします。 なかなか禁煙ができない人には、禁煙外来を受診する方法もあります。 心房細動:心房細動は、文字通り心臓の心房という部屋が細かく震えるように動き、心臓を動かす電気刺激がうまく伝わらなくなって起こる不整脈です。 結果として脈が規則的にうたずに乱れてきます。 心房細動は高齢者に多く、70歳をこえると5~10%の人に起こるといわれています。 多くの場合、心房細動そのものが命に関わることはありませんが、心房が細かく震えることによって、心房内の血流によどみができ、血栓を生じ、脳梗塞の原因となるところが問題です。 心房細動とわかれば、その予防にワルファリンなどの抗凝固薬が威力を発揮しますが、残念なことに、心房細動があって抗凝固療法を受けている患者さんは意外と少ないのです。 特に高齢者では、心房細動の自覚症状がないことも多く、患者さん自身が心房細動の存在に気付いてないため、病院を受診しないことも一因と考えられています。 健診でたまたま心房細動とわかる場合もありますが、時々自分で脈をとってみてリズムが乱れていないかをチェックするのも重要です。 心房細動が疑われるときには、一過性脳虚血発作を起こす前でも、循環器内科を受診することが肝心です。 食事療法:高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病には食事療法が欠かせません。 高血圧の方には減塩が効果的です。 1日食塩摂取量6gを守りましょう。 カロリーや脂肪分を抑え、バランスのとれた食事をとることは、糖尿病、脂質異常症の改善につながりますし、生活習慣病悪化の下地となる肥満の抑制にもなります。 過度の飲酒は肝臓を悪くするだけでなく、脳卒中のリスクを高めます。 1日の飲酒量は日本酒なら1合程度、ビールなら中瓶1本程度にしましょう。 「休肝日」を設けることも大切です。 運動療法:適度な運動は生活習慣病を改善させ,脳卒中の予防につながります。 特に激しい運動をする必要はありません。 運動は1日30分、ウォーキングであれば、少し汗ばみ、息がはずむ程度が目安です。 糖尿病の患者さんでは食後1~2時間後に行うと食後の血糖の上昇が抑えられ効果的です。 日本脳卒中協会は、脳卒中予防の知識をより広く普及させるため、わかりやすい「脳卒中予防10か条」を作成しています。 参考にしてください〈図7〉。 おわりに このパンフレットをお読みいただいた方には、脳梗塞の警告発作としての一過性脳虚血発作の重要性、緊急性をよく理解していただけたと思います。 冒頭でお話ししたAさんのその後を最後にお話しします。 翌朝Aさんは目を覚まし、起き上がろうとするとうまく起き上がれず、右手足に再び力が入らないことに気づきました。 救急車で病院に搬送され、脳梗塞と診断されました。 入院治療にもかかわらず、後遺症として右片まひが残り、長期のリハビリテーションを余儀なくされました。 もし前日の間に病院を受診し、検査、治療を受けていれば、脳梗塞になるのを予防できたかもしれません。 ご自身あるいはご家族に、一過性脳虚血発作を疑う症状が起きた場合、後悔することのないよう、早く専門病院を受診するようにしてください。

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