1 信頼性試験の目的 半導体デバイスがお客様の製造から輸送および市場でのストレスに対し十分な耐性を満足するものかを確認するとともに、信頼性を維持向上させるため実施するものです。 信頼性試験の内容 信頼性試験には大きく分けて3種類あります。 ・・・設計開発時、量産試作時、量産開始後、それぞれの段階で試験を実施し、問題点がないことを確認しています。 信頼性試験の方法 信頼性試験方法については、「日本工業規格 JIS 」,「電子情報技術産業協会規格(JEITA 」,「米軍規格 MIL 」、「国際電気標準会議規格(IEC)」等で各種試験方法が標準化されていますが、当社では主に「電子情報技術産業協会規格(JEITA 」に準拠して実施しています。 2 信頼性試験の方法 1 新規プロセス開発時 今般の微細化・複雑化されたIC製品の信頼性向上には、実際の製品評価だけでは、内部素子すべてについて問題点を絞り込むことが困難であり、非効率・非経済的です。 そこで、一般に知られるウェーハプロセスの寿命試験(HCI、TDDB、BTI、EM、SM)を行い、期待寿命が確保されていることを確認します。 また、ICを構成している能動素子(トランジスタ)、受動素子(ダイオード、コンデンサ、抵抗)、配線など個別素子レベルでの信頼性を十分に評価・把握することが必要となります。 特に微細化を中心とした新プロセス構築時には、信頼性用TEG(Test Element Group)を用い、信頼性上基本的な問題点がないか検証を実施します。 2 個別の製品開発段階 この段階においては、概ね2回の製品試作があります。 設計後の試作:開発計画時に狙った特性や信頼性を満足しているか検証• 量産試作:量産ラインを使用し試作を行い、以下の2点を中心に検証します。 信頼性評価は基本的には各試作において実施します。 - 設計後の試作において問題があった場合の対策効果確認 - 量産における問題点の有無確認 3 定期信頼性評価 開発段階に作り込まれた信頼性レベルが、量産以降も継続的に維持されていることを確認するために量産品を抜取り、定期的に信頼性評価を行っています。 ウェーハプロセス、組立プロセスおよび製造場所などの組合せを考慮して代表品種を決定し評価を実施します。 4 ディレーティングと加速モデル 個別に規定された絶対最大定格や動作範囲内での使用においても、半導体の信頼度はディレーティングの度合いによって大きく変化します。 お客様での機器の設計においては、十分な安全を見込んだ適切なディレーティングを実施していただくようお願いいたします。 以降に、信頼性試験結果から市場寿命を推定する際によく用いられる温度加速モデル、温度差加速モデルおよび湿度加速モデルに基づくディレーティングについて説明します。 電気的ストレスは自己発熱による温度加速や温度差加速にあてはめることができますが、特に急峻な印加がある場合や、その他のストレスで懸念のある場合は当社へお問い合わせください。 温度加速モデル(アレニウスモデル) アレニウスモデルはスウェーデンの科学者アレニウスが提唱した、ある温度での化学反応の速度を予測するモデルで半導体の寿命推定に最もよく用いられます。
次の信頼性試験、故障解析、デバイス評価に役立つ書籍を手持ちの中からご紹介させていただきます。 弊社商品に限らず、幅広い種類の電子部品、半導体デバイスを対象としたものを選択致しました。 最新の専門特化の物ではなく、むしろ歴史のある基本的な内容の物中心となっています。 信頼性試験、故障解析の書籍(古書中心。 書店の本棚に納得のいくものがないときに) 1. 電子部品の信頼性試験 越川清重(著) 日科技連出版社 <内容> ・信頼性試験の意義と考え方 (統計的試験、非破壊試験、環境試験、耐久試験、寿命試験、加速試験等) 環境試験については世界の地域別温湿度限界値と試験条件の一覧表と地図も載っています。 ・信頼性を阻害する故障現象 (熱拡散、クリープ、イオンマイグレーション、イオン汚染、振動と衝撃、静電気破壊現象等) イオンマイグレーションについては起こす金属と起こす条件の表なども載っています。 ・市場故障における故障の発生機構とその対策 複合環境試験の一覧表もついています。 ・故障現象に基づいた信頼性試験方法 各種コンデンサや金属材料等の「部品・材料・現象」とn乗側、k度側、アレニウスモデル等の モデルとの対応一覧表、市場故障データと試験データとの対応の求め方一覧、 主要部品の重要故障現象一覧表も載っています。 いきなり古い本からのご紹介ですが、日科技連の本だけあって良書です。 理論の説明と代表例だけ述べるのではなく、実例の一覧表があるのが良いところです。 また、付録として半導体デバイスの静電気破壊現象の確認方法やプレッシャークッカー試験 PCT に ついても記述があります。 こちらは上の本とは異なり、一応章立てしてありますが、一問一答形式で書かれており、 見出しから知りたいことだけすぐ見れる良さがあります。 故障物理入門 — 保証科学の解析的アプローチ 塩見弘(著) 日科技連出版社 <内容> ・故障物理の説明、基礎概念 ・物性科学と故障 ・故障物理のモデル(ストレス強度モデル、反応論モデル、故障率モデル、再弱リンクモデル等) ・信頼性物理の技術 ・加速寿命試験とスクリーニング(加速性、加速係数、寿命加速とスクリーニングの例等) ・信頼性物理の応用(装置、システムの故障予測、環境適用係数 Kファクター等) 1の本より故障の理論とモデルに注力した1冊です。 データ解析の書籍(サンプリングやバラツキの理論と実践をつなぐ1冊) エンジニアのための実践データ解析 藤井 宏行(著) 東京化学同人 ・平均とばらつき (平均と標準偏差を求める目的、必要なデータ数、サンプル数と精度、正規分布のメカニズム等) ・正規分布にならないケースとその対処法 (負の数を取らない場合、ベクトルから求めたスカラー量、両側に壁がある場合、 時間と共に劣化する現象の表し方、再弱リンク説に基づく材料強度の分布等) ・分散分析(違いの分析) ・相関分析(関係性の分析) ・因果関係の分析(回帰分析と最小二乗法) ・複数要因の分析(重回帰分析) データ解析関係の書籍の多くは「理論を説明してグラフ書いて例題出してお終い」ですが、この本は実際に現場から上がってくる「ばらつきを持った限られた数のデータ」「何らかの偏りのあるデータ」にどう対処すればいいか、求められた値はどんなものになるかをグラフを用いて説明してあります。 「データ解析の基礎は習ったけど実務で対応するデータは偏りがあるし、サンプルも十分かどうかわからない」というときにお勧めの1冊です。 半導体デバイスの書籍(はじめての~系の本より一歩踏み込んだ1冊) 1. 簡単な本だとバイポーラトランジスタとMOSFETの動作原理を載せて終わりですが、フィールドトランジスタなど実際の回路上に発生する寄生トランジスタの解説まで載っています。 半導体メーカーで2年働いて半端な理解とローカルな知識を得るよりこの本を読んだほうが勉強になると言っても過言ではないかもしれません。 文章や数式だけの本と違い、空乏層のひろがり、チャネルの動き等を電気特性のグラフ、素子の断面モデルを使って理解し易く書かれています。 タウア・ニン 最新VLSIの基礎 タウア・ニン(著) 丸善出版 <内容> ・デバイス物理の基礎 ・MOSFETデバイス ・CMOSデバイス ・バイポーラデバイス ・メモリデバイス ・他 上記の「半導体デバイス」と違い、各種トランジスタの電気的な設計に注力して書かれた書籍です。
次の半導体製造の中で培われた信頼性試験の技術でお客様の開発や品質維持向上をサポートします。 また、試験に付随する治工具の作成やサンプルの外観・計測、電気的特性の測定なども、合わせて承ります。 まずは一度ご相談ください。 評価名 略号 別称等 試験概要 対応規格 HTS 保存や稼動における耐久性を温度を上げて短時間で評価します。 THS 使用環境における湿度に対する耐久性を温度・湿度を上げて短時間で評価します。 HTOL 稼動における耐久性を電圧・温度を上げて短時間で評価します。 HTRB 稼動における耐久性を電圧・温度を上げて短時間で評価します。 HTFB 稼動における耐久性を電圧・温度を上げて短時間で評価します。 THB 稼働中の湿度と電圧の相互作用による耐久性を温度・湿度・電圧を上げて短時間で評価します。 TC 温度変化のある環境で使用する場合に対し、高低温の温度変化の繰り返しに対する耐久性を温度変化幅を大きくして短時間で評価します。 PCT PCBT 高温高湿が特性劣化に与える影響を加速して評価します。 - 製品実装時の状況をシミュレーションします。 JIS、JEITA等の規格規定評価はもちろん、規格外評価、 試験途中の条件変更などにも対応いたします。 まずは一度ご相談ください。 評価項目詳細 高温保存試験(HTS).
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