ピアジェ の 発達 理論。 ピアジェ、フロイト、エリクソン…様々な発達理論のまとめ

同化と調節

ピアジェ の 発達 理論

送る 心理学者ジャン・ピアジェ (1896~1980)をご存知ですか? スイスで生まれ育った彼は、生涯に50冊以上の本と500本以上の論文を著し、多くの学者に影響を与えた人物です。 心の発達を研究する「発達心理学(developmental psychology)」の分野で大きな功績を残し、その理論は今や世界中で知られています。 大学で教職課程を修めた人なら、教育心理学の授業で習ったかもしれませんね。 ピアジェが唱えた「発生的認識論(genetic epistemology)」は、学校の教員だけでなく、看護師や保育士を目指す人たちにも学ばれています。 その理由は、子どもが心身をどのように成長させていくかを知ることにより、子どもの発達を支援しやすくなるから。 子ども特有の言動に対して「どうしてそんなことするの?」とイライラせず、その意図を理解して適切に指導することができるようになるのです。 さて、ピアジェの理論を役立てることができるのは、教師や保育士だけではありません。 たとえば、親の意図しない行動を子どもがとったとしても、「この子はこうやって周りの世界を認識し、成長していくんだ」「大人が持っているような能力を、まだ獲得していないんだ」と納得し、肯定的に捉えることができるでしょう。 そこで今回は、心理学者ピアジェの唱えた理論のエッセンスを、できるだけ分かりやすくご紹介しますね。 心理学者ピアジェの人物像 ジャン・ピアジェは1896年、フランスとの国境に近い、スイスのヌーシャテルという街で生まれました。 父親のアルトゥールは歴史学と文献学を修め、ヌーシャテル大学では文学教授でした。 ピアジェはアカデミックな家庭で育ったといえます。 ピアジェは最初、生物学に興味を持っていました。 認識の発達に関する研究者の集まりである「ジャン・ピアジェ協会」によると、ピアジェは11歳のとき、白スズメについて短い論文を書いたそう。 これが研究者としてのキャリアの始まりです。 その後、ピアジェは研究を進めて軟体動物の研究で博士号を取得しました。 ピアジェは精神分析学に関心を持つようになり、フランスで心理学を学びます。 そして1921年、ジュネーヴにあるジャン=ジャック・ルソー教育研究所の所長として招かれ、教育学・児童心理学の研究を進めました。 彼は複数の大学で心理学や社会学などを教えつつ、1955年に発生的認識論国際センターを立ち上げ、1980年に亡くなるまでセンター長として研究を続けました。 私生活においては、1923年に結婚。 3人の子どもに恵まれ、彼らの知的発達を観察したそうです。 ピアジェの「発生的認識論」とは 応用言語学を専門にする大澤真也教授(広島修道大学)によると、ピアジェの発生的認識論において重要な概念のひとつが「段階的発達」だそう。 大澤教授は以下のように説明しています。 これは成人としての最終的な段階に達する前に、子どもは感覚運動期、前操作期、具体的操作期、形式的操作期の4つの段階を経るというものである。 発達の速さや達成度合いには個人差があるが、どのような環境であるかにかかわらず子どもはこれら4つの段階を普遍的な順序で経験していくと考えられている。 (引用元:CiNii|) では、子どもの知的発達における4つの段階を順に見ていきましょう。 感覚運動期(sensorimotor stage)(0~2歳) この段階の特徴は、「循環反応(circular response)」および「対象の永続性(object permanence)」だそう。 ブリタニカ国際大百科事典によると、循環反応とは「反応した結果が再び刺激となって同一あるいは類似の反応が反復されること」。 たとえば、ふと何かを触ってみたら感触が面白かったので、何度も触ってみる、といったことです。 次に、対象の永続性について。 たとえば、生まれてまもない子どもの眼前におもちゃがあったとして、大人がそれに布をかぶせて見えなくしてしまうと、子どもはおもちゃがなくなったと思ってしまいます。 しかし、感覚運動期の後半には、布をかぶせられて視界から消えても、子どもはおもちゃがまだそこにあると認識できるようになります。 これが、対象の永続性を理解しているということです。 なおピアジェは、この段階で赤ちゃんの「模倣行動(imitative behavior)」が発達すると論じました。 乳児心理学を専門とする大藪泰教授(早稲田大学)によれば、ピアジェの理論における模倣行動の発展水準は以下の3つに分類されます。 - 手の運動と発声の模倣期(~生後8カ月頃) 自分が見たり聞いたりできる、自分と相手の動作・発声のみを模倣できる。 - 顔の模倣期(生後8カ月~12カ月頃) 前段階と異なり、見ることのできない自分の表情を、相手の表情に近づけることができる。 - 延滞模倣期(生後18カ月~) 相手の動作を記憶し、あとから模倣できる。 前操作期(pre-operational stage)(2~7歳) この段階の特徴は「自己中心性(egocentrism)」と「中心化(centration)」だそう。 大澤教授によると、自己中心性とは「世界を主観的な視点からしか見ることができないこと」。 相手の立場で想像することができず、たとえば自分の知っていることは当然相手も知っているだろうと思い込んでしまうそうです。 また、中心化とは、ブリタニカ国際大百科事典によれば「対象のうち最も目立つ側面だけに注意を集中して、それ以外の部分を無視すること」。 たとえば、口径の広いビーカーに水が入っているとして、それを子どもの眼前で細長いビーカーに移し替えます。 すると、子どもは高くなった水面ばかりに意識が向き、水の量が増えたと思い込んでしまいます。 この思い込みは、中心化という特性によるものです。 また、前操作期の子どもがどう世界を認識するかについて、重要なキーワードが「実念論(realism)」「アニミズム(animism)」「人工論(artificialism)」の3つです。 自分が小さい頃を振り返ってみると、覚えがあるのではないでしょうか。 - 実念論:自分のものの見方が絶対的だと思い込む。 - アニミズム:非生物にも人間のような思考や感情があると思い込む。 - 人工論:自然物も人間が作ったと思い込む。 なお、前操作期はさらに、2~4歳を「象徴的思考期(symbolic function substage)」、4~7歳を「直観的思考期(intuitive thought substage)」と分けることができます。 象徴的思考期の子どもは、もののイメージを作り上げて頭のなかに保存し、あとで取り出して使うことができるようになります、つまり、目の前にないものを思い出し、絵に描いたりすることが可能なのです。 また、直観的思考期の子どもは、経験したことのない状況を説明するとき、絵本のような空想ではなく理性を用いるようになるそう。 たとえば、「家が地面から生えてきた」ではなく、「人間が材料を組み合わせて家を建てた」と言うようになります。 具体的操作期(concrete operational stage)(7~11歳) 英マンチェスター大学で心理学を教えているソール・マクロード氏によると、子どもはこの段階から論理的思考を獲得しはじめるそう。 しかし、抽象的なことや仮定についてはまだうまく考えられず、「みかん」や「机」のように具体的なものにのみ論理を当てはめることができます。 この段階で重要なのは、子どもが「保存(conservation)」の概念を理解できるようになることです。 つまり、容器に入った液体を別の容器に移し替えるなどして、ものの見た目が変わっても、ものの量や数が変わるわけではないことが分かるようになります。 たとえば、10個のおはじきを横1列に並べるとします。 子どもと数を確認したあと、おはじきを円状に並び替えます。 その上で子どもにおはじきの数を質問し、数えるまでもなく「10個」と答えられたなら、「数の保存」という概念を獲得しているのです。 形式的操作期(formal operational stage)(11歳〜) この段階になると、抽象的なものや仮定についても考えられるようになります。 マクロード氏によると、子どもが形式的操作期に入ったかどうかを確かめるには、「ケリーはアリーより背が高く、アリーはジョーより背が高いとしたら、身長がいちばん高いのは誰かな?」のような質問をするとよいそうです。 形式的操作期にいる子どもは、頭のなかだけで考えて答えを出すことができます。 一方、絵を描かないと分からない子どもは、まだ具体的操作期にいるのだそうです。 ピアジェの「構成論」とは ピアジェの理論が説明されるとき、しばしば「構成論(constructivism)」あるいは「構成主義」という言葉が使われます。 「~論」「~主義」という響きは、学術的で難しく聞こえるかもしれません。 簡単にご説明します。 まず、構成主義の反対は「実証主義(positivism)」です。 学習環境デザインを専門とする久保田賢一教授(関西大学)によると、実証主義の特徴は以下の通り。 実証主義の見方では、<現実>は人と独立して世界に実在している。 (中略)そして見つけ出した<現実>を<こころ>に正確に写し取ったものが「知識」であると考えられている。 人の<こころ>は本来空っぽであり、世界に実在する<現実>を<こころ>にコピーすることが学習であり、それを蓄積することで学習が進むと見なされる。 (引用元:J-Stage|) 一方、構成主義の特徴は以下の通りです。 構成主義では、<現実>は人が世界と交わることで構成されると考える。 つまり、人と独立した<現実>は存在しない。 (中略)「知る」とは、人がその<こころ>の中で世界をつくり出す過程に他ならず、その意味でも私たちの住んでいる世界は自分自身によりつくり出されたものである。 (引用元:同上) 教育の場において、実証主義と構成主義の違いははっきりと現れます。 実証主義の場合、教師の役割は、生徒の心に情報を「書き写す」ことです。 教師が生徒に問いを投げかけ、生徒が応答し、それに教師がフィードバックを与える。 この流れを繰り返すことで授業が進みます。 そのため、学習において生徒は受け身の存在だといえます。 一方で構成主義の場合、生徒は「積極的に意味を見つけ出すために主体的に世界と関わる存在」です。 そのため、学習とは「学習者自身が知識を構成していく過程」であり、「共同体の中での相互作用」を通じて行われるものだとされます。 つまり、生徒が能動的に学習できるようにするのが、構成主義的な教育です。 ピアジェの発生的認識論は、子どもが自分のなかで発達段階を形成していくのだと主張しているため、構成主義的な立場をとっているといえます。 なお、発達心理学を専門とする佐藤公治教授(北海道文教大学)によると、ピアジェの「相互作用説(interactivism)」においては、大人との相互作用(互いに働きかけ、影響を及ぼすこと)よりも年齢の近い子ども同士の相互作用が重視されています。 「同じような発達段階にあって、かつ自分とはやや異なった視点や認識の仕方をしている仲間」とメッセージをやりとりすることで「認知的葛藤(cognitive conflict)」が生まれるそう。 発達心理学を研究する林昭志氏(上田女子短期大学)によると、認知的葛藤とは、「いくつかの両立しがたい情報に接したときに、生ずる疑問、当惑、矛盾、驚きのことであり、すでにもっている既有知識と新しい知識の間に一定のずれがある場合に生ずるもの」。 認知的葛藤によって知的好奇心が発生し、物事をよりよく認識できるようになるそうです。 つまり、ピアジェの理論においては、子ども同士のコミュニケーションが認知発達に及ぼす影響が重視されているのです。 ピアジェ理論における「道徳」 ピアジェは、子どもの道徳観にも2つの発達段階があると主張しました。 - 他律的道徳観(5~9歳)(heteronomous morality) この段階の子どもは、道徳とは他人の作ったルールや法律に従うことで、それらは絶対に変えられないものだと思っています。 そして、ルールを破ると厳しい罰を受けなければならないと信じています。 他律的道徳観の特徴のひとつは、行動の意図よりも結果を重視して善悪を判断すること。 たとえば、親が掃除するのを手伝おうと思い、洗剤を大量にこぼしてしまったAちゃんと、洗剤で遊んでいたら少しだけこぼしてしまったBちゃんがいるとします。 他律的道徳観の段階にいる子どもに、どちらがより悪いか尋ねると、Aちゃんが悪いと答えるのです。 - 自律的道徳観(9~10歳)(autonomous morality) この段階の子どもが持つ道徳観は、自分自身のなかにあるルールに左右されるようになります。 また、自律的道徳観の段階にいる子どもは、絶対的な善悪は存在しないことを理解し、他人の視点からも考えられるようになるそう。 他人の意図や状況も考慮に入れ、ルールや道義的責任、罰などについての判断力が大人に近づくのです。 この段階の子どもは、行動の結果だけでなく意図も考慮して判断するようになるため、上記の質問ではBちゃんが悪いと答えるのが一般的だそうです。 2人の心理学者:ピアジェとヴィゴツキーとの違い ピアジェの理論を語る際、よく比較されるのがソビエト連邦の心理学者レフ・ヴィゴツキー(1896~1934)。 ヴィゴツキーは、いまや教育学を中心とした幅広い分野で知られている「発達の最近接領域(Zone of Proximal Development : ZPD)」を提唱したことで有名です。 看護学を専門とする島田智織教授(茨城県立医療大学)および江守陽子教授(岩手保健医療大学)は、ZPDを以下のように説明しています。 ZPDとは、すでに自分ひとりでできる活動と、今は他者の力を借りることで乗り越えられる領域のズレを指す。 このズレは、明日にはじぶんひとりでできるようになるという発達可能性を有した領域である。 端的に表現すると発達ののびしろということになるだろう。 ズレを解消しつつZPDを拡張していくことが学習者の発達だということになる。 (引用元:茨城県立医療大学|) さて、ピアジェの理論とヴィゴツキーの理論の大きな違いのひとつは、上述した「相互作用」についての考え方です。 ピアジェは、子どもの認知発達の過程において、大人との相互作用より子ども同士の相互作用を重視しました。 子どもは友だちとの対話を通し、自分とは異なる考えに触れることで、認知的葛藤を抱えます。 その葛藤を解決することにより子どもの認知が発達する、というのがピアジェの考えです。 つまり、相互作用というのは認知発達のきっかけでしかなく、相互作用が認知発達に直接の影響を及ぼしているわけではないのです。 一方、ヴィゴツキーの理論では、相互作用が子どもの認知発達に直接影響していると考えられています。 佐藤教授の言葉を借りれば、相互作用とは「新しい知識の形成のための情報を提供する場」。 そのため、相互作用の相手としては、子どもに新しい情報をもたらせるような大人・年長者が重視されます。 また、大澤教授の言葉では、ピアジェの理論において「子どもは自分自身で知識を作り上げていかなければならない」のに対し、ヴィゴツキーの理論における子どもは「 ZPDにおいて他人の助けを必要」としており、「最初は他人の助けを借りなければタスクを遂行することができない」ものの、やがて「自分の力で遂行できるようになる」のです。 ピアジェ教育とは ここまで見てきたように、ピアジェの提唱した理論は、さまざまな分野に影響を及ぼしています。 なかでも、ピアジェの考えを特に意識した教育は「ピアジェ教育」と呼ばれています。 愛知県で幼稚園・保育園を展開している学校法人・聖英学園は、同学園の特徴のひとつとしてピアジェ教育を掲げています。 同学園によると、ピアジェ教育とは以下のような教育です。 先生に教えられるのではなく、子どもがあそびの中で自分から働きかけ、その環境の手応えを感じ取り、豊かな刺激を受け取ることによって、子どもは自分自身を発達させていく創造的教育をピアジェ教育といいます。 ピアジェ教育は知識を身に付ける教育ではなく、知恵を出せる子どもを育てる教育です。 (引用元:学校法人 聖英学園|) ピアジェによって監修された教材を用いて幼児教育を行うことが「ピアジェ教育」と呼ばれることもあります。 ピアジェの理論を取り入れた教材を開発・販売している幼年教育出版株式会社は、ピアジェが直接監修した「世界唯一の教材」として「」を幼稚園・保育園向けに提供しています。 ピアジェ理論における発達段階に基づき、子どもが楽しみながら好奇心をもって取り組めるよう、体系的に構成されているそうです。 ピアジェを知るためにおすすめしたい本 ピアジェ自身についてもっとよく知りたい、ピアジェの理論をきちんと学びたいと思ったのなら、どれか一冊、本を通読してみるのがよいでしょう。 おすすめしたい書籍を2冊紹介します。 - ピアジェの理論のエッセンスを簡潔に説明するだけでなく、ピアジェの人物像や、ピアジェの理論がどのように受容されたかなどにも紙幅が割かれており、ピアジェについて全体的に知りたい人には最適の一冊です。 文体が丁寧で分かりやすいため、難解な専門書とは一線を画しています。 - ピアジェ自身による著書を訳したもの。 手にとりやすい文庫本です。 心理学だけでなく、哲学や数学の分野で論じている章もあり、一部は難解。 しかし、発達段階の部分だけでも、提唱者自身の言葉で読む価値はあります。 *** 子どもの発達について考えるなら、ぜひ知っておきたいピアジェの理論。 現代日本における保育や教育に大きな影響を及ぼしています。 親としても、ぜひ意識しておきたいものですね。 (参考) The Jean Piaget Society| CiNii| CiNii| コトバンク| コトバンク| Simply Psychology| Simply Psychology| Simply Psychology| Simply Psychology| J-Stage| J-Stage| MentalHelp. net| MentalHelp. net| Southwest Psychometrics and Psychology Resources| 北海道大学学術成果コレクション| 茨城県立医療大学| 学校法人 聖英学園| 学校法人 聖英学園| 幼年教育|.

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教育心理学のレポート「ピアジェの発達段階説」をまとめたやつ

ピアジェ の 発達 理論

ピアジェの認知発達理論とは ピアジェの認知発達理論とは、スイスの発達心理学者ピアジェ,J.が提唱した、認知発達に関する理論です。 心理学における認知とは、人が外界の対象を知覚し、知的に理解、判断、思考する機能やその過程を意味します。 ピアジェの認知発達理論では、人は発達段階に応じたシェマ(外界を理解する枠組み)を持ち、発達とはより高次のシェマを獲得することだと説明されます。 そして、高次のシェマを獲得すると、認知が質的に変化して以前の認知に戻ることができなくなると考えられています。 つまり、人の認知発達は一定の方向へ段階的に進んでいくと考えられているのです。 また、認知発達の進行については、同化、調節、均衡化という概念を用いて説明されています。 同化 同化とは、外界の情報を自分が持つシェマに合わせて理解することです。 言い換えると「自分が持つシェマを変えずに外界の情報を取り入れること」が同化です。 例えば、「写真や動画を見ることができ、メールも送ることができる手帳上の物体」を渡されたときに、自分が持つ「スマホ」というシェマを使い、渡された物をスマホだと認知します。 調節 調節とは、自分が持つシェマでは対応できない情報に直面した場合に、情報に合うように自分のシェマを変化させることです。 情報と自分のシェマの間に矛盾が生じると、その情報を理解できなくなるため、シェマの方を情報に合わせて作り変えるのです。 例えば、スマホを見たことがなく「スマホ」というシェマを持たない子どもの場合、そのままのシェマでは対応しきれません。 そこで、「スマホ」というシェマを取り入れ、シェマを作り変えることになります。 均衡化 均衡化とは、外界の情報と自分が持つシェマのズレや矛盾を解消し、両者の間の調和やバランスを取ろうとする心の働きです。 つまり、同化と調節を繰り返し、新しいシェマの追加や誤ったシェマの修正を行うことにより、自分のシェマを高次に変化させ、認知を質的に変化させていく過程です。 ピアジェの認知発達段階 ピアジェの認知発達理論では、人の発達が感覚運動的段階と表象的思考段階に分類されます。 また、表象的思考段階は前操作的思考段階と操作的思考段階に分類され、後者はさらに具体的操作期と形式的操作期に分類されています。 なお、前操作的思考段階は、1つの段階とされることが多いですが、象徴的思考と直感的思考の段階に分類されることがあります。 この時期の乳幼児は、物をしゃぶる、触る、他人と触れ合うなどの体験をすることで外界を理解し、行動を修正しながらシェマ(適応行動のパターン)を獲得していきます。 感覚運動期には、対象の永続性と表象機能が獲得されます。 対象の永続性 対象の永続性とは、目の前にあるものが遮蔽物などで視覚的に隠されても、 そこに存在し続けていることを認識する能力です。 生まれたばかりの赤ちゃんは、人や物が視界から消えると、その存在が消えてなくなったと認識します。 例えば、対象の永続性を獲得していない赤ちゃんは、目の前からママがいなくなると、ママの存在が消えてしまったと感じ、不安や恐怖を募らせて大泣きします。 感覚運動期にシェマを広げていくことで対象の永続性を獲得すると、ママがいなくなっても「存在が消えたわけではなく、見える範囲にいないだけ」だと理解できるようになります。 表象機能 表象機能とは、知覚したイメージを保持して、目の前にないものを思い浮かべる機能です。 表象機能を獲得すると、目の前にない人や物、過去の出来事や行為などを意図的に構成、操作、変換できるようになります。 つまり、人や物、出来事や行為をイメージとして想起して、それに基づいて行動することができるようになるのです。 表象機能を獲得した幼児は、過去の経験を頭の中にイメージし、カップを持って水を飲む「ふり」ができるようになります。 前操作的思考段階(前操作期) 前操作的思考段階(前操作期)とは、生後2歳から生後7、8歳頃までの、頭の中で論理操作を用いた思考ができるようになるまでの段階です。 前操作期は、象徴的思考段階と、直感的思考段階に分類されます。 象徴的思考段階 生後2歳から生後4歳頃までの、イメージや言語を使って思考を始める時期 直感的思考段階 生後4歳から生後7、8歳までの、外界を概念化して理解できるようになる時期 前操作期には、象徴機能が獲得されます。 また、自己中心性(中心化)、アニミズム的思考・人工論、保存概念の未発達という特徴が見られます。 象徴機能の獲得 象徴機能とは、現実にない物事を別の対象に置き換えて表現する機能です。 子どもは、象徴的思考段階で象徴機能を獲得し、カップに入った泥水をジュースに見立てる「見立て遊び」や、おままごとなどの「ごっこ遊び」ができるようになります。 自己中心性(中心化) 自己中心性(中心化)とは、自分の観点(知覚情報)で全ての物事を理解・判断する傾向のことです。 象徴的思考段階の子どもは、自分と他人の区別が明確でなく、自分の観点からでしか物事を理解できないため、その思考は自己中心的です。 直感的思考段階に入っても、自己中心性は残ります。 例えば、自分にとっての「右」が、正面に座っている人にとって「左」であることは理解できません。 また、相手の立場で行動する、自分がしたことを反省する、自分の考え方に意識を向けるなども、この時期の子どもには難しいことです。 アニミズム的思考・人工論・実念論 アニミズム的思考 未分化な思考の表れとして、全ての物に心や生命があると考える 人工論 世の中の全てのものは人が作ったと考える 実念論 夢で見たことや自分が考えたことが実在すると考える 保存概念の未発達 保存概念とは、対象の見た目や状態が変化しても、性質や量は変化しない」という概念です。 例えば、カップに入れた水を細長いカップに移し替えた場合、水の量は変化していませんが、前操作期の子どもは、細長いカップの方が量が多いと判断します。 また、2列に並べたおはじきを見せた後、1列分おはじきの間隔を広げて「どちらの列のおはじきが多いか。 」と質問すると、子どもは「間隔が広い列の方が多い。 」と答えます。 子どもの目の前で水を移し替えたり、おはじきの間隔を広げたりしても、保存性が未発達な子どもは、視覚刺激に惑わされて「変化した。 」と判断するのです。 具体的操作期 具体的操作期とは、生後7、8歳から生後11、12歳頃までの、具体的な物事に対する論理的思考(具体的操作)が可能になる時期です。 具体的操作期の子どもは、前操作期の特徴であった自己中心性(中心化)、アニミズム的思考・人工論・実念論から脱し、保存概念を獲得します。 脱中心化(脱自己中心性) 脱中心化とは、自分の観点(知覚情報)で全ての物事を理解・判断する状態から脱し、他人の観点から物事を理解・判断できるようになることです。 保存概念の獲得 具体的操作期に入ると、保存概念を獲得し、前操作期のように見た目だけで物事を判断しにくくなります。 例えば、カップから細長いカップに水を移し替えても水の量が同じであることや、おはじきの間隔を広げても数が同じであることを理解します。 前操作期では考えることが出来なかった比較や論理を理解できるようになります。 例えば「黒のかばんは白のかばんより軽い。 赤のかばんは黒のかばんより重い。 それでは一番軽いかばんは何色のかばんですか?」など、数字が関係する比較も理解できます。 可逆性の獲得 可逆性とは、対象に変化を加えた後、操作を取り消して元の状態を再現することができることです。 具体的操作期の子どもは、具体的な事柄について可逆性を獲得します。 例えば、積み重ねた積み木を箱の中に片づける場合、崩してから箱に入れていくのではなく、積み木を一つひとつ積み下ろしていく手順をイメージできるようになります。 論理的思考の発達 具体的で日常的な事柄について、論理的に考えて結論づけられるようになります。 例えば、物を実際に動かして考える、数える、量・重さ・長さを把握する、比喩、論理、比較を理解することなどが可能になります。 その結果、様々な概念を組み合わせて物事を考えられるになります。 しかし、非現実的な前提に立った推論や抽象的な推論は、まだ困難です。 例えば、具体的な数字を使った計算は可能ですが、x、a、bなどを使用した計算を理解することは難しい段階です。 形式的操作期 形式的操作期とは、生後12歳以降の、形式的操作(抽象的な思考)が可能になる段階です。 形式的操作期の子どもは、抽象的な思考、仮説演繹的な思考、抽象的な記号操作などが可能になり、大人と同じ思考を獲得していきます。 例えば、仮説に基づいて推論して結論を導き出す、物事のメカニズムを系統的に調べる、複数の物事の関係性を理解するなどが可能になります。 まとめ.

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ピアジェとフロイトの発達理論 : 心理学用語集

ピアジェ の 発達 理論

同化と調節の定義 人には、外界の物事を認識する際に用いる共通の認知機能が備わっていると ピアジェ,J. は考えました。 認識する対象が何か、認識をする人自身がそれまでにどんな知識を持っているかということにかかわらず、そうした共通の認知機能が働くと想定したのです。 同化と調節はもともと生物全般に関する概念ですが、ピアジェはこれを人の認知機能にもあてはめました。 ピアジェの理論で言う同化と調節は、外界への適応に関する認知機能の1つと位置づけられています。 ピアジェは同化と調節以外にも、 認知発達に関する多くの概念を研究しています。 子どもの認知機能は少しずつ発達していきますが、その発達の程度を4つの段階に分類することができると考えました。 これは ピアジェの発達段階説と呼ばれています。 同化と調節の関連キーワード• ピアジェ,J. 認知発達• 発達段階説• シェマ• 均衡化 同化と調節の補足ポイント 同化とは、自分以外のもの(対象や環境と言います)を自分の中に取りこむ働きで、その際には対象を取り込みやすいように変化させます。 調節とは、対象に合わせて自分の方を変えて、対象を取り込みやすくする働きです。 なお同化と調節を行う人(主体)が、その時点ですでに持っている知識の枠組みのことを シェマと呼びます。 例を挙げて同化と調節について考えてみましょう。 それまでパソコンを日常的に使っていた人がパソコンを買い替えたとします。 その中に知らないアプリケーションが入っていたとしても、今まで使ってきたものと極端に違うものでなければ、既存の知識(シェマ)の中で大概は理解ができるものです。 その場合は既存知識への取り込み、同化が行われたということになります。 しかし、パソコンを買い替えた時にそれまでのパソコンとは使い勝手が劇的に異なる場合、自分が知っているものとはある意味別ものと捉えて新しい存在に適応していかなければならなくなります。 その場合は、既存知識の枠組みを修正し、調整を行うことになります。 同化と調節は必ずしも別々に機能するわけではありません。 何かを食べようとした時に、大きなものは包丁で切り分け、熱いスープは少し冷ましてから飲むなどして対象を適宜同化します。 それと同時に、食べようと思った食材が思ったよりものどに引っかかるという時は、無理にかきこまずにゆっくり噛んで飲み込むよう調節します。 また、こうした同化と調節がバランスよく行われるようになることは 均衡化と呼ばれています。 発達に伴い均衡化も適切に行われるようになり、認知機能のバランスが良好になっていきます。

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