レナウン。 レナウン、コロナ倒産ではない? 中国企業との取引に潜むリスクと、破綻の真相=澤田聖陽

レナウン、コロナ倒産ではない? 中国企業との取引に潜むリスクと、破綻の真相=澤田聖陽

レナウン

[画像のクリックで拡大表示] 取材前日の5月15日、東証一部に上場する大手企業の1社が倒れた。 社名はレナウン。 同社は子会社を通し、法的整理の一つである民事再生法の適用を東京地裁に申請。 5月15日までに受理され、事実上の経営破綻となった。 負債総額は約138億円。 新型コロナウイルスの感染拡大以降、国内の上場企業が経営破綻するのは初となる。 レナウンは1902年創業の老舗で、高度経済成長とバブルの追い風に乗って世界最大規模のアパレル企業まで成長した。 衣類・雑貨の企画や製造、販売までを広く手掛け、「ダーバン」を筆頭に30以上のブランドを展開する。 国内に数カ所の生産子会社を構えるブランド衣料メーカーの名門的な存在だ。 頭が真っ白に・・・ そんな名門企業であるが、昨今のアパレル業界の競争激化には耐えられなかった。 取材に応じた今村氏は、レナウンの物流部門に数年間勤める現役の従業員だ。 同氏は、経営破綻当日のことを以下のように振り返る。 「その日は夕方まで、所属部門で通常通りに勤務していた。 直属の上司や他部署の管理職が打ち合わせに集まっていたが、その打ち合わせがなかなか始まらない様子だった」。 「私は、担当する作業が終わったところで上司から『先に帰っても良いよ』と促されて退勤した。 その帰り、メディアの報道で自社の経営破綻を知った。 頭が真っ白になったが、すぐにこの状況を作った親会社への怒りがこみ上げてきた」。 経営破綻の原因は、本業であるアパレル関連の業績悪化に、新型コロナの感染拡大による世界的な需要の蒸発が追い打ちをかけたこと。 この記事は会員登録で続きをご覧いただけます。 次ページでログインまたはお申し込みください。

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新型コロナ:レナウン破綻、従業員が告白「原因はコロナじゃない」 :日本経済新聞

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50周年を迎えた紳士服「ダーバン」では広告塔に吉田鋼太郎と藤原竜也を起用した レナウンの経営破綻を「コロナ倒産」と表現することに違和感がある。 同社の業績は30年近くにわたって低迷してきた。 数年おきに人員整理と事業縮小を繰り返しても収益性が回復することはなく、赤字とわずかな黒字を行ったり来たりしていた。 消費増税と暖冬に加えて、親会社・山東如意科技集団の子会社への売掛金を回収できない異常事態によって2019年12月期は67億円の最終赤字に陥っていた。 コロナは引導を渡したに過ぎない。 レナウンの凋落を振り返って感じるのは、企業が変化しないことのリスクである。 同社のビジネスモデルは、大まかにいえば30年くらい変わっていない。 百貨店や量販店向けのブランドが大半で、顔ぶれは1990年代とほとんど同じなのだ。 ブランドが変わらなくても顧客の新陳代謝が進めば問題ないのだが、同社の場合はそのまま高齢化している。 主力ブランドが高齢化 新ブランドも開発できず レナウンの公式ECサイト 平成の時代、ファッション業界では2つの大きな潮流があった。 一つはSPA(製造小売り)の台頭。 製造から販売までを一気通貫管理することで、中間コストをカットし、価格競争力を高める。 店頭の客の反応を商品企画に素早く反映させる。 2000年以降のショッピングセンター(SC)の開業ラッシュにのって、SPAは業界の主流になった。 もう一つはECの浸透。 こちらは説明不要だろう。 コロナ危機を受けてますます重要性が増している。 レナウンはどちらの潮流にも乗れなかった。 SC向けの「アーノルドパーマー タイムレス」に全体をけん引するほどの力強さはない。 売上高に占めるECの割合は3%。 そもそも自社ブランドは顧客が高齢化しており、ECを利用する人たちが欲しいと思う商品がない。 若い世代を狙ったブランドを育てようと試みてもうまくいかず、この10数年は既存事業を守るだけになっていた。 結果として昭和のビジネスモデルが温存され、過去の遺産を食いつぶす状態だった。 レナウンはかつてグループ売上高3000億円の日本最大のアパレル企業だった。 米人気ゴルファーを起用した「アーノルドパーマー」では、傘のマークによってワンポイントマークの一大ブームを作った。 90年代には、のちに多額の負債の要因になる英ブランド「アクアスキュータム」を約200億円で買収した。 5月に米国本社が経営破綻した「J. クルー(J. CREW)」を日本に持って来たのもレナウンだった。 進取の気性に富んでいたレナウンの社風は、長い低迷によって現状維持に傾く。 いまレナウンの社内で良い時代を経験しているのは50代以上の社員だけ。 それ以外の大半の社員は悪い時代しか知らない。 過去の成功体験にこだわりすぎる企業は問題だが、成功体験を知らない縮小均衡の企業からはチャレンジ精神が失われる。 「保守的な選択をしてきてしまった」 19年5月に就任会見を行った神保社長(左)と北畑会長は、親会社・山東如意の意向で20年3月に退任に追い込まれた 経営陣もそのことは自覚していた。 09年から10年間にわたって社長を務めた北畑稔氏は「お客さまの変化が想定以上に早いのに、その時々の商品や企画で保守的な選択をしてきてしまった」と反省の弁を述べたことがある。 北畑氏の後任として19年5月に社長に昇格した神保佳幸氏は「負けグセがついている社内の閉塞感を変えたい」と就任会見で話していた。 10年にレナウンが山東如意の傘下に入った際、中国企業によるショック療法で経営が変わると期待されたが、目に見えるほどの変化はなかった。 「アジアのLVMH」を目指すとした山東如意は近年、欧米ブランドの相次ぐM&A戦略が仇となって財務状況が急速に悪化した。 レナウンをサポートするどころか、対立する場面が目立つようになっていた。 19年末、レナウンは山東如意の香港子会社から売掛金の回収が滞る異例の事態になり、大赤字を計上した。 今年3月の株主総会では山東如意の動議によって社長の神保氏、会長の北畑氏の続投が否決された。 東証1部上場企業とは思えない迷走のところにコロナ危機に見舞われ、白旗を上げざるをえなくなった。 レナウンと同様に老舗アパレルとして括られるオンワードホールディングス、ワールド、TSIホールディングスなどは、痛みを伴うリストラを断行しながらもデジタル時代に向けた自己変革に取り組んでいる。 それらに比べると、レナウンはあまりに旧態依然として、ビジョンを描く力に欠けていた。 1972年、千葉県生まれ。 大学卒業後、出版社勤務を経て、98年に業界紙の日本繊維新聞社に入社。 広告営業を経て編集記者になり、メンズウエア、スポーツウエア、ジーンズカジュアル、SPAなどの分野を取材する。 2009年2月にINFASパブリケーションズに入社。 「WWDジャパン」編集部に配属され、大手アパレル、SPA、商社、百貨店、ショッピングセンターなどのビジネス記事を書く。 ファッション企業の経営者を取材する「CEO特集」をはじめ、「百貨店特集」「ショッピングセンター特集」「商社特集」などを担当。 18年5月に「WWDJAPAN. com」のウェブデスクとなり、19年5月から「WWDジャパン」のデスクとして国内ニュースを統括する。 社会や世相を反映した個人消費の動き、新しい市場を切り開くビジネスパーソンなどに関心を持つ。 ファッションビジネスが激しく変化する中、価値ある情報を届けられるように奮闘中.

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レナウン倒産が避けられなかった本当の理由…アパレル業界が露呈した“百貨店商売”の限界

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5月15日、アパレル大手の(株)レナウン(TSR企業コード:295833440)が、子会社から東京地裁に民事再生を申し立てられ同日、開始決定を受けた。 民事再生の「原因となる事実」は、手形決済資金8,700万円の不足だったことが東京商工リサーチ(TSR)の取材でわかった。 レナウンは、消費増税や暖冬による業績悪化に加え、親会社である山東如意科技集団有限公司(中国)のグループ会社への売掛金の回収遅延(貸倒引当金53億2,400万円)などにより、2019年12月期(10カ月決算)は2期連続の最終赤字を計上。 継続企業の前提に関する注記(GC注記)を記載していた。 また、レナウンは連結子会社の(株)レナウンエージェンシー(TSR企業コード:291357725、以下エージェンシー)から、これまでに6億2,500万円の資金支援(貸付)を受けるなど、資金繰りがひっ迫していた。 こうしたなか、5月15日支払期日の手形(合計)8,700万円の決済資金を調達できず、決済不能となる恐れが出てきたことから、エージェンシーが債権者として民事再生を申し立てた。 エージェンシーが東京地裁へ提出した「再生手続開始申立書」によると、新型コロナウイルス感染拡大による百貨店や量販店の休業で、「(レナウンの)現預金残高は2020年2月以降、急速に減少」していた。 このため、レナウンは親会社に支援を要請したが、「本日(TSR注:5月15日)までに支援は得られなかった」という。 今後については、「緊急事態宣言の延長により今後もしばらくは販路が限られた状況にあることを鑑みると、民事再生手続き開始の申立てを行ったとしても、相手方(レナウン)の手元資金が潤沢に推移するとは限らない」とし、「減増資、計画内事業譲渡または計画外事業譲渡のいずれの選択肢も排除せずに、迅速に民事再生手続きを進めたいと考えていると(レナウンから)聞いている」(申立書)としている。 レナウン・毛利憲司社長(左)と前社長の神保佳幸氏(3月).

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